法律系の仕事をしている「かるなだ」です。
罪を犯してしまった人、その家族や知人に対して、有意義な情報を提供していきます。
今回は、警察が、犯罪者を逮捕する場合の種類について説明します。
その種類によって、警察がやらなければならない手続きが変わってきます。
手続きが適正に行われていたかを確認するためにも、どの種類で逮捕されたのかを知っておく必要があります。
では、解説していきます。
逮捕種別とは?逮捕には3種類ある
警察などの捜査機関が、犯罪者を逮捕する場合、
- 通常逮捕
- 緊急逮捕
- 現行犯逮捕
の3種類があります。
この逮捕の種類のことを「逮捕種別」といいます。
犯罪者を逮捕する状況に応じて、警察は、どの逮捕種別で逮捕するのか見極めて逮捕しています。
もし、自分や大切な人が逮捕されてしまった場合、どの逮捕種別で逮捕されたのかを知っておくことが大切です。
逮捕種別ごとに、逮捕する際の条件が違ってきます。
その逮捕種別ごとの条件のことを、逮捕要件といいます。
逮捕要件って聞くと難しいですが、
・逮捕状が必要かどうか
・逮捕状がなくても逮捕できるのか
・どういった場合に逮捕状を見せる必要があるのか
とか、そういった手続きのことだと思ってください。
犯罪者がいたら、「とにかく逮捕!」ということはできないようになっています。
必ず、どれかの逮捕種別に合うような逮捕要件が必要です。
もし、逮捕要件もなく、警察の判断だけで逮捕できるようになってしまうと、お隣の国のように国の事情だとか、警察の感情で逮捕されるようになってしまいます。
そうならないような仕組みになっているんですね。
逮捕種別ごとに、逮捕するときの条件や、その後の手続きが変わってきますので、どの種別で逮捕されたのかは知っておくことはとても大切です。
つまり、逮捕種別を知ることにより、その後の捜査が適法なのかを見極めることができるのです。
それでは、それぞれの逮捕種別について解説します。
通常逮捕とは
逮捕の中の基本中の基本は、この「通常逮捕」です。
「通常」っていうくらいですから、他の逮捕種別が例外的な扱いを受けているとも言えます。
通常逮捕というのは、逮捕状を根拠として犯罪者を逮捕することです。
犯罪常習者の中には、逮捕状のことを「お札」なんて呼ぶ人もいますね。
ドラマとかでも言っているシーンがありますが、あれが逮捕状のことです。
通常逮捕で犯人を逮捕する場合は、
- 犯人に逮捕状を見せて、
- 逮捕状に書かれている内容を確認させて、
- 逮捕する
のが基本的な流れです。
しかし、犯人が警察官などの姿を見て逃走しようとしたり、暴れて攻撃してくるときは、逮捕前に逮捕状を確認させるのが不可能な場合があります。
こういう場合は、先に手錠を使ったりして逮捕した後、すぐに逮捕状を犯人に確認させるという流れをとることもあります。
ここでは、「逮捕状を根拠として逮捕することを通常逮捕という」といことだけ、押さえておいてください。
緊急逮捕とは
逮捕状を根拠として逮捕するのが「通常逮捕」だと説明しましたが、次は、逮捕状がなくても犯人を逮捕できる場合について説明します。
それがこの「緊急逮捕」と次に説明する「現行犯逮捕」です。
緊急逮捕については、
- ある一定の重い罪(殺人や強盗など)を犯した
- その罪を犯したということが、ほぼほぼ間違いないという証拠がある
- 急いで逮捕しないと、逃げられたりして、次はいつ逮捕できるかわからない
という条件のすべてが当てはまる場合に限って、先に逮捕してから、裁判官に逮捕状を出してもらう手続きをとります。
緊急逮捕の場合は、犯罪を実行してから逮捕までの時間の制限はありません。
何時間、何日経ってからでも逮捕することができます。
逮捕状の請求をする前に、犯人を見つけたんだけど、逮捕状を待っていたのでは間に合わない場合に緊急逮捕したりします。
この場合は、逮捕したらすぐに警察が犯罪が行われたことの証拠をまとめて、裁判所に逮捕状を請求しなければいけません。
稀ではありますが、この段階で、裁判所が逮捕状の請求を却下する場合があります。
その場合は、警察が犯人を逮捕したままにしておく法的な理由がなくなるので、釈放しなければなりません。
現行犯逮捕とは
現行犯逮捕も、緊急逮捕と同様に逮捕状がなくても犯人を逮捕することができます。
しかも、警察だけでなく、私たち一般人も逮捕することができます。
老若男女、成人、未成年も関係ありませんので、誰でも犯罪を見たら逮捕できます。
電車内で女子高生に痴漢をしているのを見かけたOLが、その場で捕まえたりするのが、一般人による逮捕の例です。
逮捕する際は、くれぐれも反撃されてケガをしないように気を付けてください。
「現行犯」という名前のとおり、
- 今まさに犯罪を行っている最中
- 犯罪を実行し終わってから時間が経っていない
場合に逮捕することができます。
緊急逮捕の場合は、一定の重い罪の犯罪でしか逮捕できませんでしたが、現行犯逮捕の場合は、犯罪の軽重は関係ありません。
ただし、「現行犯」なので、犯行後、何時間も経ってから逮捕することはできません。
現行犯逮捕の場合は、通常逮捕や緊急逮捕の場合とは違って、犯罪を実行したことが間違いない状況で逮捕するので、逮捕状は必要ありません。
まとめ
前述のとおり、犯人を逮捕するための種別には、
・通常逮捕
・緊急逮捕
・現行犯逮捕
があります。
それぞれの場合、犯人の人権を守るため、定められた手続きをとることが定められています。
もし、自分や家族など、身の回りの人が逮捕されてしまった場合は、これらの逮捕種別を確認し、必要な手続きが取られ、権利が保障されていたかを明らかにすることで、冤罪を防ぐことができます。
ぜひ、自己防衛のため、大切な人を守るためにも、適正な逮捕であったかを確認しましょう。
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