人は誰でも日常生活の中で、大勢の人達と関わりながら生きていますよね。
大勢の人と人間関係を持っていると、思いがけないことから犯罪に巻き込まれることがあります。
意図せず、つい犯罪者になってしまうこともありえます。
もし、犯罪者になってしまったら、「どうしよう」って動揺しますよね。
私の息子が、酔って人を殴って怪我をさせてしまい、逮捕されてしまったんです。
こういったことは突然起こるので、どうしたらいいの分からないですよね。
せめて、どんな権利があるのかということは、知っておいた方がいいですよ。
ここでは、犯罪者として扱われてしまったときに知っておくべき権利について解説します。
警察や検察からの捜査を、何も知らないまま受け続けるのと、保障された権利を知っているのでは結果が変わってくる場合があります。
長い歴史の中で行われてきた冤罪や不当な逮捕を反省、教訓として、現在の日本ではしっかりとした権利が保障されているので、確認していきましょう。
捜査段階に応じた権利
警察や検察、その他多くの捜査機関が日本にはあります。
ここでは、一般的な警察による捜査を想定し、その段階ごとの権利について解説します。
捜査や裁判等の過程ごとに、
- 警察や検察による捜査段階では、被疑者
- 裁判を起こす手続き後は、被告人
というように、犯人(容疑者)の呼び方が変わり、それぞれの段階で、保障される権利も変わってきます。
被疑者や被告人の権利は、大きく分けて以下の3つの区分に分類することができます。
ここでは、それぞれの段階で、どのような権利が与えられているかについて解説します。
被疑者から被告人、すべての段階の人権を保障した一般規定
被疑者として、犯罪を犯した者であるとして捜査をされる段階から裁判を受けるまでを通じて、基本的なことを定めたものを一般規定と言います。
このことを定めたのは、憲法31条です。
- 法廷手続きの保障(憲法31条)
被疑者に対する捜査段階の権利規定
警察や検察から犯罪者として捜査を受けていて、未だ裁判を起こされていない者を「被疑者」と呼びます。
テレビや新聞などのニュースでは「容疑者」と呼ばれますが、法律的には「被疑者」と言います。
同じものだと考えてください。
この「被疑者」段階で保障された権利規定については、主に次の3つがあります。
- 逮捕における令状主義(憲法33条)
- 弁護人依頼権と拘禁理由の開示請求権(憲法34条)
- 住居等の不可侵(憲法35条)
被告人に対する公判(裁判)段階の権利規定
警察が捜査を行い、その結果を検察官が判断して、裁判によって罪を裁かれるべきと判断した場合、裁判を起こす手続き(起訴)を行います。
起訴されると、法律上の呼び方が「被疑者」から「被告人」になります。
この「被告人」の段階で保障された権利規定については、主に次の3つがあります。
- 公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利(憲法37条1項)
- 証人審問件・喚問権(憲法37条2項)
- 弁護人依頼権(憲法37条3項)
被疑者から被告人、すべての段階を保障した権利規定
捜査から裁判まで、「被疑者」から「被告人」として立場が移り変わるわけですが、すべての段階を通じて保障された権利規定については、主に次の6つがあります。
- 苦役からの自由(憲法18条)
- 裁判を受ける権利(憲法32条)
- 拷問及び残虐な刑罰の禁止(憲法36条)
- 自己に不利益な供述の強要禁止等(憲法38条)
- 遡及処罰の禁止・一事不再理(憲法39条)
- 刑事補償請求権(憲法40条)
まとめ
今回は、捜査から刑が確定するまでの一連の流れの中で、どのような権利があるのか、全体像を知っていただくため、あえて詳しい解説は省略しました。
今後、これらの詳しい権利規定については、解説していきます。
最後に確認です。
それぞれの段階で保障された権利は以下のとおりとなります。
1 被疑者から被告人、すべての段階の人権を保障した一般規定
・法廷手続きの保障(憲法31条)
2 被疑者に対する捜査段階の権利規定
・逮捕における令状主義(憲法33条)
・弁護人依頼権と拘禁理由の開示請求権(憲法34条)
・住居等の不可侵(憲法35条)
3 被告人に対する公判(裁判)段階の権利規定
・公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利(憲法37条1項)
・証人審問件・喚問権(憲法37条2項)
・弁護人依頼権(憲法37条3項)
4 被疑者から被告人、すべての段階を保障した権利規定
・苦役からの自由(憲法18条)
・裁判を受ける権利(憲法32条)
・拷問及び残虐な刑罰の禁止(憲法36条)
・自己に不利益な供述の強要禁止等(憲法38条)
・遡及処罰の禁止・一事不再理(憲法39条)
・刑事補償請求権(憲法40条)
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